こんにちは!
教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長(@3Lmuseum)です。
初めての美術館。
「どうやって作品を鑑賞すればいいのかわからない……」と不安を抱く人がほとんどではないでしょうか。
そして、結局謎なまま何を学べたのかわからずじまい。最初は自然とこうなってしまいがちです。
今回は、これから初めて美術館でアートに触れる人に向けて、どうやって美術館でアートを鑑賞すればいいのかについて、わかりやすく解説していきます。
鑑賞の仕方は人それぞれではありますが、この記事が一つのマニュアルのようなものとなり、美術館を初めて訪れる人たちの不安感を解消できたら嬉しい限りです。
・展示の種類
・鑑賞をする際に準備すべきアイテム
・展示作品鑑賞の流れ
・知識を深める作品の見方
・鑑賞後の楽しみ方
1.事前に展示内容を把握する
初めて美術館を訪れる前に、まずは見に行く展示内容をざっくりでいいので知っておきましょう。
美術館の展示には、『常設展』と『企画展』の2種類があります。
内容をざっくり把握することで、いざ鑑賞していく際の理解度が、飛躍的に高まり鑑賞がとてもスムーズになります。
常設展
常設展とは、美術館が持っているコレクション作品を公開する展示のことです。
常設展であれば、美術館の公式サイトでどんな作品を集め展示している美術館かを知りましょう。
公式サイトの概要の部分を見てみることで、作家であったり、近現代の美術を扱っていたり、その土地ゆかりの作品を集めていたりといった、美術館の特性がわかります。
例えば、福島県の諸橋近代美術館はダリの作品を主に取り扱っていたり、神奈川の横浜美術館は国内外の近現代作家と横浜ゆかりの作家の作品を集めていたりと、美術館によってコレクションは様々です。
企画展
企画展とは、そのテーマに沿って企画された内容の作品を集めて、一堂に公開する展示のことです。
企画展であれば、その展覧会の内容をざっくり抑えていきましょう。
公式サイトが一番見やすいと思いますが、雑誌やテレビでも知ることができます。
慣れないうちは、展覧会タイトル、開催背景、大まかな作家(時代、意図)を読み取るのを意識してみてください。
2.展示室に入る前に、鑑賞を充実させるための準備をしよう
展示室に入る前に、鑑賞を充実させるためのアイテムを手に入れておくと、より一層楽しめます。
展示室の入り口には、多くの場合その展示の『作品リスト』が置いてあります。
鑑賞中感じたことや、お気に入りの作品の名前なんかをメモするのに使えるため、ぜひ持っていいきましょう。
なお、展示室内では原則鉛筆のみが使用できます。
ボールペンやシャープペンシルだと、インクが飛び散ってしまったり芯が飛散したりする可能性があるため、使用禁止とされています。
鉛筆は展示室の入り口や受付で貸し出されているので、持っていない人はスタッフに一声かけてみましょう。
また、入り口では展示によって有料で『音声ガイド』を貸し出していることもあります。
音声ガイドとは、作品や世界観をわかりやすく解説してくれる機械です。デバイスの形状は様々ですが、基本はイヤホンを装着して音声を聞きます。
有名な俳優さんや女優さんが音声ガイドを勤めていることもあり、初心者でもアートが好きな人でも、馴染み深くわかりやすく利用できる点が大きな強みです。
・展示の作品リスト
・鉛筆
・音声ガイド
3.展示室での鑑賞方法
入り口での準備を済ませたら、いよいよ展示室です。
展示作品は内容に沿ってグループ分けされ、いくつかの部屋に別れて展示されています。
グループを具体的に挙げると、画家の黎明期・晩年・画家と同じ時代に活躍した画家の作品といった感じです。ストーリー仕立ての構成になっている場合が多いようです。
「どこから見ればいいの?」と最初は困惑するかもしれませんが、順路のパネルで美術館側が誘導してくれているため、その点においては安心して大丈夫です。
また、展示作品リストにも番号が振られているため、その番号に沿って鑑賞していくということも可能です。ただ、混雑状況によっては飛ばし飛ばしで空いている作品からを見るのがいいかもしれません。
鑑賞をする際、作品を見る順番は個人の自由です。
混んでいる時は、みんな順番通りにみたがるので、鑑賞の列ができてしまいます。そこに並んで順番通りに鑑賞するのもいいものの、やっぱりゆっくり見れた方が鑑賞の質は高くなります。
展示室に入ると、はじめにご挨拶のキャプションがあります。
たいていは主催した学芸員のものや、美術館の館長の開催趣旨や概要であることが多いようです。
展覧会を開く動機を知ることができるため、展覧会の趣旨をざっくりと把握することができます。
4.作品を鑑賞する際のポイント
いよいよ作品とのご対面です。
しかし、早速作品を見るのではなく、その前にグループごとの説明キャプションに目を通しておきましょう。「第◯章 黎明期……」といったタイトルがグループには付いています。
その部屋のコンセプトを把握しておくと作品への理解度がより高まるため、まず最初に作品を見るのではなく、その前にある大きなキャプションに目を軽く通しておきましょう。
そして、ようやく鑑賞が始まります。お待たせいたしました。
基本的に作品の展示構成は、作品・作品情報のキャプション・作品の説明キャプションの3つです。作品によっては、説明のキャプションがなくて作品情報のみ、というケースもあります。
この展示構成をまずは把握し、鑑賞していきましょう。
鑑賞の仕方は、1.感じる 2.見る 3.知る 4.共有する でしたね!
これを展示構成に当てはめていきます。
1.作品
2.作品情報
3.説明
鑑賞の順番としては、上記がおすすめです。
最初に作品そのものを見ることで直感で感じて、特徴を自分なりに抽出してみます。「風景の絵だなあ」、「人の絵だなあ」とか、その程度で大丈夫です。
次に作品タイトルなどの作品情報を見ることで、自分の直感との軽い答え合わせをしていきます。タイトルで、この絵がどのような絵なのかがだいたいわかります。
そして最後に、作品の解説を見てその作品の意図や背景を知ります。
解説がない場合は、タイトルのみで完結してしまうものの、そこから想像力を働かせて見ることでより発想力を鍛えられるのではないかと思います。
なかなか最初は大変だと思うので、無理はせず解説付きの作品から、最初は見ていきましょう。
最後のキャプションに関してですが、最初のうちは隅から隅まで見る必要はありません。
わからないことばかりの大量の情報が一度に流れ込んでくるため、集中力が持たず疲れてしまいます。
それで、わけわからなすぎて嫌になってしまったら元も子もないため、無理のない程度でキャプションは見ていきましょう。
5.鑑賞後はミュージアムショップで楽しもう
ほとんどの美術館は、展示の終わりに『ミュージアムショップ』を併設しています。
展覧会のグッズやちなんだ商品が多く並んでいるため、思い出として何か買ってみるのもいいかもしれません。
そんな中で、おすすめなのが『図録』です。
展示作品がカラー・解説付きで掲載されており、家に帰ってもじっくりと鑑賞をすることができます。
さらに、情報コーナーものぞいてみましょう。
美術館の情報コーナーには、ほかの美術館の展覧会情報やパンフレットがおいてあります。
ほかの美術館ではどんな展示をやっているのか、あるいは開催予定なのかを知ることができます。気になる企画展が見つかるかもしれないので、ぜひチェックしてみてください。
そして最後に、感想をアウトプットしましょう。
一緒に行った人と感想を共有したり、一人で訪ねた場合は日記やブログなんかに文字として残してみたりしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は初めての美術館鑑賞をテーマにお話させていただきました。
最初のうちは、どうやって作品を鑑賞したらいいのかわからないものです。館長も初めて鑑賞した展覧会は、難解で頭を悩ませました。
入館前、入館中、入館後のそれぞれで意識したいことをまとめたので、この記事を参考に充実した美術鑑賞をしていただけたら幸いです!