こんにちは!
教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長(@3Lmuseum)です。
この記事では、『印象派』について解説していきます。
印象派は、国内でも多くの展覧会が開催されているため、アートに興味を持ち始めた人は聞いたことがあるのではないでしょうか?
アート好きにとっては、誰もが知るジャンルですね!
ちまたでは、「日本人には印象派好きが多い」と言われているほど、人気なジャンルです。
国内で頻繁に展覧会が開催されているだけでも、その人気さがうかがえます!
なので、印象派の美術史を知ることは、アート鑑賞において即戦力で使える知識である可能性が高いということになります。
これからアートを詳しくなりたい人にとってもとっつきやすい流派なので、この記事を読んで印象派とはどういうものなのかを理解していきましょう。
印象派とは?
印象派とは、主に19世紀後半にフランスのパリにて活躍した画家たちのことを指します。
一言で表現すると、彼らは「チャレンジャー精神の強い若者」です。
印象派と呼ばれる画家の一群は、古い時代からのアートの在り方から脱却し、新しい時代の理想の美術を追い求めました。
印象派の真骨頂は、光による微妙な変化を捉え、一瞬を描くことにあります。
輪郭のないぼんやりした雰囲気も重なり、暖かな印象を受ける絵画が多い傾向にあります。
また、印象派が活躍する以前の絵画は、アトリエに篭って制作されていました。
しかし、今では当たり前となっているチューブ絵の具の開発が、アトリエに篭る画家を外に出すことになるのです。
チューブ絵の具の登場により、どこにでも色を持ち出せるようになりました。
外にイーゼルを持ち出し、まさに光が映す一瞬をキャンパスに収めていたのです。
加えて、鉄道の開通も大きなきっかけとなります。
鉄道が開通したことで遠方で描くことも可能になり、パリ郊外での作品も増えました。
このように、印象派は「古い習慣を打破して、新しいことに挑んだチャレンジャー」とも見て取れるのです。
しかし、世間の印象派に対する目はあまりいいものとは言えませんでした。
最初は不遇だった⁉︎
印象派の始まりは、あまり世間からは評価されないものでした。
光の色彩変化を描いているのに、「まるで腐った死体だ」と酷評を受けてしまったり、ぼんやりした雰囲気が未完成と間違えられてしまったり、「瞬間の印象をスケッチしただけだ」と言われたりと、なかなか散々な言われようだったそうです。
今じゃとても考えられませんね……
この酷評が印象派の名前の由来でもあります。
新しい変化をみんなが受け入れる訳ではなく、恐れる人もいることを痛感する出来事なのでした。
ただ、その一方で印象派を評価している人もいました。
そして、次第に評価が高まり、世間から受け入れられていくことになるのです。
・印象派は古い習慣を打破して新しいことに挑んだチャレンジャー
・光による微妙な変化を捉え、一瞬を描く
・ぼんやりとした暖かな雰囲気が特徴
・チューブ絵の具の開発が背景にある
・最初の評価はあまりよくなかった
印象派の作品
印象派の画家たちの大まかな特徴としては上記の通りですが、一人ひとりがこの大まかな特徴にプラスして、作品を生み出しています。
つまり、印象派でも慣れれば一瞬で誰の作品か見分けがつくとも言えます。
ベースは同じでも、各々の個性が詰まっているのが印象派なのです。
それでは、印象派の作品を見ていきましょう。
クロード・モネ
特徴:光の変化や水面の揺らめきといった一瞬を捉えたザ・印象派
ピエール=オーギュスト・ルノワール
特徴:生きる喜びをテーマに、裸婦像や人々の暮らしを生き生きと描いている
雰囲気の似た作品たちをワークショップで取り扱っているので、ぜひチェックしてみてください!
エドガー・ドガ
特徴:バレエダンサーを主にテーマとして扱う。社会情勢とも相まって色々と闇が深い
こちらの記事でも『踊りの花形』を解説しています!
ベルト・モリゾ
特徴:母と子の日常といった、家庭的な情景を描く作品が多い
印象派の区分
印象派の作品をいくつか紹介させていただきました。ぼんやりとした感じ、伝わりましたか?
印象派を細かく分類すると、新印象派や後期印象派にジャンルを分類することができます。
新印象派は色彩を科学的に研究して点描を用いた作品を製作し、後期印象派は印象派に触れて独自の路線を切り開いていったという特徴があります。
それぞれ解説していきます!
新印象派
新印象派は、色の性質を科学的に研究して、新たな色彩表現を追求した画家のことを指します。
その色彩表現というのが、『点』です。
色を一つひとつの点にし、補色などの色の特性の元で配置していくことで、幻想的で計算された絵画を制作していました。
プリンターの原点のようなものですね!
このことから、新印象派は別名『点描主義』とも呼ばれています。
そんな新印象派のパイオニアを1人紹介します。
ジョルジュ・スーラ
特徴:新印象派の第一人者。印象派を科学の力でアップデートした
ワークショップでも取り上げているので、気になったらこちらの記事もどうぞ!
後期印象派
後期印象派は、別名『ポスト印象派』とも呼ばれており、古い美術の概念を覆した印象派に触れて、独自の道を切り開いていった画家たちのことを指します。
この後期印象派の存在はとても重要で、この先の時代の美術に大きな大きな影響を与えました。
そんな後期印象派と呼ばれる分類に入るのが、ゴッホやセザンヌ、ゴーギャンといった巨匠たちなのです。
一度は名前を聞いたことであろう彼らの作品を見てみましょう。
ポール・セザンヌ
特徴:様々な視点を1つの作品にまとめることで、新たな空間表現を作った
フィンセント・ファン・ゴッホ
特徴:荒々しい筆跡で、内面の感情を表現した
ポール・ゴーギャン
特徴:平らな画面に鮮やかな色彩。着想はタヒチから
印象派と日本の繋がり
実は、印象派と日本にはつながりがあることをご存知でしょうか?
海外で印象派が活躍した頃、日本では幕末から明治時代への移り変わりつつあり、鎖国が解消されている時期でした。
開国した日本は、万国博覧会に参加し、浮世絵などの日本の絵画や工芸品を出品しました。
この浮世絵が、当時の印象派の画家たちに衝撃を与えることになるのです。
「のっぺりとした2Dの雰囲気」や「鮮やかな色彩は今までにない画風」で、とても新鮮だったそうです。
この日本ブームのことを『ジャポニズム』と呼びます。
特にモネやゴッホは日本を愛し、浮世絵の収集や日本に着想を得た作品を残していきました。
日本の芸術が世界に認められてると思うと、なんだか嬉しいですよね!
そんな日本の影響を受けた海外の画家たちが描いた作品は、どのようなものなのかを見ていきましょう。
クロード・モネ
フィンセント・ファン・ゴッホ
過去にワークショップでも解説しました!
まとめ
今回は印象派について解説しました。いかがだったでしょうか?
印象派の展示は、世界でももちろん日本でも毎年数多く開催されています。
印象派の展覧会が多いことが、印象派が日本で人気な理由な1つなのかもしれませんね。
印象派を紐解いてみると、作家同士の友情や壮絶なドラマが数多くあり、鑑賞だけでなく歴史も大いに楽しむことができます。
今回解説した印象派を一言で表すと、「昔の概念を壊し、新しい美術の時代を切り開いた画家たちの時代」といったところでしょうか。
印象派は美術に新しい風を吹かせたとともに、その後の美術にも大きな影響を与えていきました。
歴史的にも重要なターニングポイントでもあるので、積極的に覚えていきたいジャンルですね!
また、別の記事でルネサンス美術についても解説しているので、ぜひチェックしてみてください!
ただ鑑賞するのではなく知識を得ることで、もっとアートを好きになるはずです!