こんにちは!
教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長(@3Lmuseum)です。
3月25日、これまで公開されていなかったゴッホの絵画がフランス・パリのオークションに出品され、日本円換算で約17億円の金額で落札されました。
このように、「絵画が高額で落札された」なんてニュースは、意外と日頃から目にすることが多いと思います。
今回は、どのような点が絵画の落札ニュースの見所やポイントなのかをテーマに、ゴッホの例を挙げてお話していきたいと思います。
落札ニュースの見所やポイント
落札ニュースの見所やポイントをまとめると、以下のようになります。
・落札金額
・どこのオークション会社に出品されたか
・どこから出品されたか
・誰が購入したか
それぞれのポイントについて解説していきます。
作品情報
作品情報とは、作家や年代、見所などの作品を説明するときに必要な情報です。
例えば、今回の絵画に関していえば、このような作品情報が挙げられます。
・作家:フィンセント・ファン・ゴッホ
・年代:1887年(後期印象派)
・見所:ゴッホが暗い作風から明るい作風に変えるための転換期の作品
参考 サザビーズ公式サイト:モンマルトルのストリートシーン
初めのうちは作家や作品名などを理解しておくだけでも楽しめると思います。
ゴッホは有名な作家ではあるため、「ゴッホなら高額だろうなあ」と感じると思いますが、もし自分の知らない作家の作品が数億で落札されていたら、興味が湧いてきませんか?
「この人知らなかったけれど、こんなにすごい画家なんだ!」という発見があるかもしれません。
落札金額
落札のニュースに関して、最も気になるポイントは落札金額であると思います。
今回のオークションで落札されたゴッホの絵画は約17億円でした。この額は、フランス国内で落札されたゴッホの絵画では、過去最高落札額であるそうです。
余談ですが、世界のゴッホ最高落札額は、それをゆうに越えてきます。
最高落札額を叩き出した作品は、『医師ガシェの肖像』。
なんと落札額は日本円でおよそ183億円です。まさかの日本人が落札しています。
損保ジャパン日本興亜が所有する『ひまわり』。
これはおよそ53億円で落札されています。
当時と今とでは価格の変動はあるものの、世界規模で見ると今回の落札は比較的安価であることがわかります。
だんだん金銭感覚がおかしくなってきます。
オークション会社
この絵画が取引されたのは、『サザビーズ』のオークションでした。
サザビーズとは、世界最古であるこの競売業界の大手のオークション会社です。
ほかに有名どころだと『クリスティーズ』があります。
ニュースで取り上げられるオークション会社は、業界最大手である『サザビーズと』と『クリスティーズ』の2社がほとんどです。
また、この2社はライバル関係にもあるため、高額落札のニュースでオークション業界の情勢をある程度知ることができます。
さらに、ダークホースが出てきた場合も見所といえます。
近年アジア圏においてアートが注目されてきているので、「日本のオークション会社からも高額落札が出てくる」なんてこともあるかもしれませんね。
ただ、日本のオークション会社は世界に比べてまだまだ小規模であるため、今後の成長に期待です。
どこから出品されたか
今回のように、ゴッホの作品がこれまでにずっと明るみにされていなかったのには理由があります。それは、「この作品が個人の所有であったこと」です。
この作品は、今まではフランスのとある家族が100年以上もの間所有していたものであるそうです。つまり、所有権はその家族にあるため、公開するも個人で楽しむのもその人の自由というわけです。
コレクションをたくさん保有している人は、公開する意思があれば美術館という場を借りてコレクション展として世間に公開することだってできます。しかし、この絵画は公開されることはありませんでした。
美術館の企画展示にも、100年以上もの間で貸し出されなかった様子から、この作品は個人で楽しんでいたと考えられます。
出品経路にフォーカスを当ててみると、作品がこれまで出てこなかった理由などをざっくり考えることができます。
なお、出品に至った背景は、所有者本人に聞くしかありません。
ただし、オークションの公式サイトやニュースで本人やオークショニアがお話している、なんてことも稀にあるため、チェックしてみるといいかもしれませんね。
誰が購入したか
誰が購入したのかも、結構大事なポイントです。
今回の落札者は非公開とされていますが、非公開であることがどのような意味なのか。また、落札者は個人だけではありません。美術館なども落札者であることが考えられます。
最近のニュースだと、箱根のポーラ美術館がサザビーズのオークションにおいて、ゲルハルト・リヒターという作家の作品を30億円で落札した、なんて事例もあります。
このように美術館も落札者として存在しますが、芸術を一般公開するミッションを持つ美術館が落札を非公開にするというのはなんとも違和感があるため、「ない」と予想されます。
なので、今回は個人落札が濃厚だと筆者は考えています。とはいえ、落札を名言する個人だっています。バスキアを落札された前澤友作さんがいい事例です。
今回のように名乗らないとなると、ずっと公開されることなく個人の楽しみとして購入あるいは資産としての購入が濃厚なため、今回のゴッホの作品は今後人目に出る可能性はあまりないのではないかと考えられます。
まとめ
オークションの落札に関するニュースの見所やポイントについて紹介しました。
・落札金額
・どこのオークション会社に出品されたか
・どこから出品されたか
・誰が購入したか
何気なく目にして関心するようなニュースですが、紐解いてみるとアートの知見が深まります。今後も、今回のゴッホのような高額落札のニュースを見る機会があると思います。
その際、この記事の内容を思い出して、参考にしていただけると嬉しい限りです。