こんにちは!
教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長(@3Lmuseum)です。
みなさん、大人になってから絵本を読んだことはありますか?
きっと子どもの頃に読んだっきりな人が大半だと思いますが、実は絵本もれっきとしたアートなんです。
ただ、そう言われても「もう子どもの頃の感覚を無くしてしまっているから楽しめる気がしない……」という声もよく耳にします。
そこで今回は、どのようにしたら大人が絵本を楽しむことができるのかを3つの観点に分けて紹介していきます!
また、後半では館長のおすすめの大人も楽しめる絵本も4冊紹介しますのでお楽しみに!
大人でも絵本を楽しむことができる?
世の中には、大人でも楽しめる絵本が多く存在します。いや、本来ほとんどの絵本は大人も子どもも楽しめるものです。
それを難しくしているのは、「絵本は子ども用」「大人の時間をかけて読むものではない」という先入観です。
この先入観により、ほとんどの大人は楽しむ方法を見つけることを放棄してしまっているのです。
ここでは絵本の価値を新たに見出せる3つの観点をお伝えします。
・絵本はハイレベルなアート
絵本には、ストーリーやユニークなタッチの絵、情緒があります。
これは映画とほぼ同様の要素を持っていると考えられ、「絵画版の映画」とも捉えることができます。
そして、絵本は大勢の人によって生み出されるものではなく、基本的には1人の作家か、作画を分けた2人が生み出しています。
間違いなくセンスがなければ作ることができない代物なのです。
さらに、中には現代アートのような性質を持っている絵本もあり、普段生活していては気づくことがないような内容を問いかけてくれます。
新しい視点を得ることにもつながり、普段の生活で見落としがちなことや感情を再認識するきっかけにもなるでしょう。
・インテリアとしても高い価値がある
絵本って、少し値段が高いですよね。
一般的に、新品だと安いもので1000円、高いものだと2000円前後です。生活の必需品ではないのにそこまでの金額を払うことに抵抗がある人もいるのではないでしょうか。
しかし、館長はこの値段は妥当だと考えています。
なぜなら、作品を楽しんだ上で、その作品を物質として所有することができるからです。
これを映画に置き換えて考えてみましょう。
映画は映画館で見る場合、大人であれば1回の入場料で大体1800円くらいしますよね。
そして1800円の対価は1回ストーリーを楽しんだら消費してしまいます。(その限りある感じがいいところでもありますが……)
一方、絵本は一度購入したらそれを所有して、目に見える形で手元に置いておくことができます。
これは、ただ単に子供に読み聞かせたり、自分でストーリーを楽しんだりする以上の使い方をすることができるということです。
例えば、インテリアとして部屋に飾り、部屋のアクセントにするのもいいでしょう。
多くの絵本は独自の絵を追求した作家によって彩られていますから、インテリアとして活用した場合の効果はみなさんの想像以上のはずです。
しかも、値段は映画館での映画鑑賞とほとんど同じか、それ以下です。
大量生産されているインテリアを飾るだけでなく、自分の気に入ったストーリーやタッチの絵本を部屋に飾ることで、文字通りほかにないユニークな印象を出すことができるはずです。
・作家の個性を楽しむことができる
先述したとおり、基本的に絵本は1人か2人の作家によって作られています。
それはつまり、その作家の人間性・世界観を堪能することができるということです。
どうしてこの話を作ろうと思ったのか?
どのようにして思いついたのか?
なぜこのタッチで表現しようと思ったのか?
この作品は作家にとってどのようなものなのか?
たくさんの疑問を考えることで、その作家の深さ・人となりに考えを巡らすことができます。
非常に好奇心を掻き立てられることであり、エキサイティングです。
さらに、絵本は常に手元に置いておくことができます。
そのため、じっくりと長い時間をかけて隅々まで観察し、考察することができるでしょう。
人間はほかの人の価値観を理解することを通じて自分を深めていく生き物なので、この体験はあなたの人間性をより深いものにしてくれるはずです。
大人も楽しめるオススメ絵本 4選
絵本には、大人だからこそ楽しめる見方がたくさんあることが分かっていただけたと思います。
ここからは、館長オススメの絵本を4冊ご紹介します!
・つみきのいえ
『つみきのいえ』は、2008年にアニメーション作家の加藤久仁生監督により発表された、短編アニメーション映画を後に絵本として書き直した作品です。
また、元となった映画はアカデミー短編アニメ賞を受賞した初の日本映画でもあります。
時系列に沿って謎が明らかになっていくドラマの様に楽しめる作品で、大人が読むとこの作品からしか得られない深い感情を感じることできるはずです。
・The Doubtful Guest(邦題:うろんな客)
アメリカの絵本作家であるエドワード・ゴーリーの代表作です。
ゴーリーの作品は、一貫して奇妙でナンセンスなストーリーと細い黒線で執拗に描かれたタッチで構成されています。
また、多くの作品で罪のない子どもが殺されてしまうという非常にイレギュラーな作風が特徴で賛否両論ある作家です。
『うろんな客』は、その中でもかなりキャッチーな作品で、子どもも殺されたりしません。
そのかわりに奇妙なキャラクターが登場し、彼が中心になってひたすらナンセンスな行動をとりまくるというストーリーになっています。
この作品のおかしさは、大人になって読むとよく分かるはずです。
・ARRIVAL(邦題:アライバル)
オーストラリアの絵本作家、ショーン・タンによる作品です。
『ARRIVAL』には作中に文章が一切登場せず、完全に絵だけで構成された作品となっています。
世間的にも大人向けの絵本作品と言われており、読み手の想像力を使って様々な意味を見出すことができます。
言葉通り「言葉にできない感覚」が一貫してあり、その世界は大人も子どもも魅了されるはずです。
作者のショーン・タンには、その唯一無二の作品たちを讃え、数多くの芸術に関する賞が贈られています。
・Where The Wild Things Are(邦題:かいじゅうたちのいるところ)
『かいじゅうたちのいるところ』は、アメリカの絵本作家、モーリス・センダックによる作品です。
日本でも有名な作品なので、子どもの頃に読んだという人も多いのではないでしょうか?
子どもの世界を見事に捉え描き出した一作でありますが、最も注目すべき点はその秀逸なタッチにあると思います。
本当に存在しているかのような強い存在感でかいじゅうたちを表現した高い技術とセンダックの芸術性が融合したからこそ、何十年にも渡って世界中に受け入れられる作品になったのだと思います。
大人になってから読むと子どもの頃の懐かしい感覚と、作者の類い稀な才能を味わうことができるはずです。
まとめ
大人が絵本を楽しむ視点について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
絵本は子どもだけが楽しむものではなく、大人も楽しめることが分かっていただけたら嬉しい限りです!
最後に、絵本を楽しむためのポイントを要約しておきます。
・絵本はほかの芸術と同じようにハイレベルなアートとして楽しむことができる。そのためには「絵本は子どもが読むもの」という先入観をなくすことが大事。
・作品を楽しむだけでなくインテリアとしても使うことができ、部屋のユニークなアクセントとして効果的に活用することができる。
・絵本は作家の人間性のかたまりでもあるので、大人になってから読むことで作家の個性を堪能して楽しむことができる。
今回の記事で興味を持っていただけたら、図書館や本屋さんで新しく気に入ったタッチの絵本を探してみてください!
12月なので、家族や自分へのクリスマスプレゼントとしても素敵かもしれませんね。